大きな嘘をつき続けた果てに2011/05/02 17:35

子供にこうした嘘を教えているサイトを設立したのは……
『原発事故──その時あなたはどうするか!?』(日本科学者会議福岡支部核問題研究委員会・編、1989年、合同出版)という本があります。絶版ですので、正確には「ありました」というべきでしょう。
 版元などのご協力により、内容は現在ネット上で誰でも読めるようになっています。⇒こちら

 執筆・編纂したのは、森茂康九州大学名誉教授をはじめ、九州大学、九州工業大学、佐賀大学などの7人。
 20年以上昔に書かれたものですが、現在福島第一原発で起きている原発災害にそのままあてはまる内容です。今読むと、なぜこうした真摯な警告を生かせなかったのかと、改めて残念に思います。

//原子力発電所に事故が起きて放射能が漏れるような事態になったとき、国および地方自治体(知事や市町村長)には住民を被害から守る責任があります//
 ……という書き出しで始まるこの本は、「原発事故が起きたらどうすべきか」「原発事故とはどのようなものか」「放射線障害とはどのようなもので、どうすれば身を守れるか」「原発重大事故はどのようにして起こりうるか」「原発事故に対する法整備の提言」という内容を70ページ弱に収めてあり、非常に読みやすく、分かりやすい説明には感心させられるばかりです。
「あとがき」は、奇しくもこのように結ばれています。

//本書を作成する作業を進めている間にも、原発事故をめぐるさまざまなニュースが入ってきました。その中でも、福島原発の再循環ポンプの羽根の破損事故に際して警報が鳴っているのにそのまま運転を続けた、というニュースに、私たちは戦慄をおぼえると同時に、本書を作成する意義を重ねて確認することにもなりました。しかし、私たちは、本書が実際に使われるような原発事故がけっして起こらないことを願っています。//

 福島原発周辺に住む私は、この本の存在を重大事故が起きた後にネット上で読むことになりました。この本が福島の住民に配られていたら、どれだけ役に立ったことでしょう。
 しかし、この本の冒頭で「原子力発電所に事故が起きて放射能が漏れるような事態になったとき、住民を被害から守る責任があります」と宣告された国や地方自治体(知事や市町村長)は、原発事故への備えを固めなかっただけでなく、逆に、「原発事故は起こりえない」と国民を洗脳し続けてきました。
 ほんの一例を示しましょう。
 財団法人福島県原子力広報協会 という組織があります。
 事務所は大熊町の福島県原子力センター内にありますが、当然今は立入禁止です。でも、サイトは生きていて今も閲覧可能。とても興味深い内容なので、ぜひ覗いてみてください。
 財団の説明には、
「財団法人福島県原子力広報協会は、県民に原子力の平和利用の知識と安全性に関する普及啓発を行い、地域社会の振興に寄与することを目的として、福島県及び原子力発電所立地・予定関係11市町村の出捐(しゅつえん)によって設立されました」
 ……とあります。
「出捐」という言葉は聞き慣れませんが(ATOKも変換してくれませんでした)、辞書を引くと「当事者の一方が自分の意思で、財産上の損失をし、他方に利益を得させること」とあります。
 ということは、福島県と浜通り11市町村が金を出して、県民に対して「原発は必要なんですよ」「原発は安全ですよ」とPRするために設立した、ということになりますね。
 設立出資金は2,000万円。実際の金がどこから出たのかは分かりませんが、あくまでも形の上では東電が設立したのではなく、地元自治体が設立したことになっている点が重要です。
 この財団の「出捐団体」は、福島県、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、南相馬市、田村市、いわき市の12自治体です。理事長は渡辺利綱(大熊町長)。事業費は約1億293万円(平成22年度予算)となっています。
 毎年1億円以上をかけて、原発のPRをしているのです。

 財団のサイトには「ウランちゃんのなるほどアトム教室」とか「アトムキッズランド」といった子供向けのコーナーがあり、原子力をPRしています。
「アトムキッズランド」には「アトム博士になろう! クイズチャレンジ」というコーナーがあり、そこにはこんなクイズが出題されていました。

問題:「地球温暖化によって地球の気温が2度上がると、海面はどのくらい上昇すると予測されているでしょう?」
答え:「50cm~1m」 解説:21世紀末までに地球の平均気温は約2度も上昇し、これにより北極や南極の氷が溶け海面が50cm~1m上昇するといわれています。


 地球の平均気温が多少上がったからといって極地の氷が溶けたり、それによって海面上昇などしないことくらい、まともな大人なら知っていますが(そもそも北極の氷は海面に浮いているので、たとえすべて溶けたとしても海面上昇には関係しない)、こういう大嘘を金を使って子供たちに教えているのです。
 注意してほしいのは、こうした大嘘を子供たちに教え込んでいる組織が、あくまでも電力会社ではなく、地元自治体によって設立されている(ことになっている)ことです。
 最近ニュースになった「わくわく原子力ランド」(小学生用)と「チャレンジ!原子力ワールド」(中学生用)という教科書副読本も同じですね。これは国(文部科学省と経済産業省)が作製したもので、全国の小中学校に無償で配布されています。国策としての原子力発電事業を肯定する内容で、今回の事故後、「大きな地震や津波にも耐えられる」「放射性物質がもれないようしっかり守られている」などの表現が問題にされました。

   この副読本は、2008年に改訂された新学習指導要領で原子力推進を重視することが確認されたために作られました。実際の作成には「日本原子力文化振興財団」(文科省関連の財団法人)が関わっていたようで、その内容を同財団のサイトでも公開していましたが、4月13日に削除しています。
 この「日本原子力文化振興財団」の紹介ページには、
「地球環境への負荷の小さいエネルギーである原子力に、国民の積極的な支持と協力を得るためには、きわめて幅広く、かつ多岐にわたる活動が求められます。当財団は、発足以来、設立の趣旨にのっとり、多種多様な事業を展開し、原子力への理解を深め、不安や疑問を払拭していただくための努力を続けてまいりました」
 とあります。
 言い換えれば、原子力が必要不可欠かつ安全だと国民に信じ込ませるためには、ありとあらゆる手段を講じることが必要であり、その役割を担ってきた、ということですね。
 この「国民の積極的な支持と協力を得るための、きわめて幅広く、かつ多岐にわたる活動」が実を結んだ結果、日本人はすっかりバカになってしまいました。
 本当のことを自分で調べる努力をせず、テレビや新聞に書かれていること、学校で教えられることがすべて本当のことだと思うようになりました。
「CO2が増えると地球が熱くなって海面が上昇し、ツバルなどの島国が沈んでしまうらしい。ホッキョクグマが絶滅してしまうんだって。大変だ! そのためにはCO2を出さないクリーンで安価なエネルギー、原子力発電や風力発電、太陽光発電に切り替えなくては! 急がなくちゃ! そのためには何ができるだろう。そうだ、我が家も屋根に太陽光発電パネルを取り付けよう。グリーン電力証券を買おう。たまにしか乗っていない13年前のクラウンはまだ1万キロしか走っていないけど、廃車にしてプリウスに買い換えよう……」
 ……などなど、「幅広く、かつ多岐にわたる活動」を画策した人たちの思うつぼの思考形態、行動様式に染まっていったのです。

「ウランちゃんのなるほどアトム教室」や「わくわく原子力ランド」や「チャレンジ!原子力ワールド」は、確実に成果を上げたと言えるでしょう。
 こうした政策を進めてきた人たちは、人心を操ることや行政を牛耳ることにかけてはプロ中のプロです。
 首長の接待や立地自治体の懐柔はうまいし、そのための金はふんだんに使います。
 ギャラの高い有名人を起用したテレビCMを流して原子力政策をPRしてきましたし、テレビのニュース番組のスポンサーとなることで、メディアもコントロールしてきました。
 しかしその一方で、水に浸かっても大丈夫なバックアップ電源を用意する金は使わないし、考えようともしません。努力する目標を完全にはき違えているのです。

 さて、話を福島に戻しましょう。
 子供たちに大嘘を教え込み、原発の必要性と安全性を植えつける財団の「出捐団体」となっている福島県、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、南相馬市、田村市、いわき市は、これからどうしますか?
 福島第一原発の後片づけだけで、東電も国も手一杯。今までのように、住民を手なずけるための金が落ちてくることはもう期待できませんよ。しっかり補償金を取りたいなら、むしろはっきりと原発を拒否する姿勢を示さないと矛盾するということにも気づいてほしいものです。
 土地も暮らしもめちゃめちゃにされた上で、なお「原子力行政のあり方は国民的な議論が必要」とか「地域住民の感情を考慮」などと及び腰なことを言っていては、「補償」の内容も舐められてしまうということを理解してください。
「原発雇用」に関しては、気の遠くなるような廃炉までの作業により、今まで以上になるので心配ありません(ただし、仕事量は増えても、内容は「汚れ仕事」が中心になりますが……)。
 尻尾を振っておねだりする姿勢を少しでも残していたら、福島は、このまま核廃棄物最終処分場、産廃、巨大風車などなどが集中する、永久に「文化果つる土地」「見捨てられた地」「差別される土地」になりはてるでしょう。そういう土地にすることと引き替えに国から金が投入されても、その金にどんな意味があるというのでしょうか。
「緊急時避難準備区域」の我が家に戻り1週間。福島に生きる一人として言います。
 住民や自治体の長がこんな簡単なことも分からないようでは、福島の再生なんて、到底ありえない、と。

(税金投入によって懐柔され、情報コントロールによって騙され、その果てに裏切られ、被害を受ける構図は巨大風車も原発もまったく同じなので、敢えてここに掲載します。
原発震災情報・現地リポートは別ブログhttp://gabasaku.asablo.jp/blog/に更新しています。
☆言うまでもないことですが、福島原発に近い滝根小白井ウィンドファームや檜山高原ウィンドファームは3.11以後完全に停止したままで、まったく発電していません)

福島第1原発事故から学ぶこと2011/03/16 11:07

津波の前と後 ポンプやバックアップ電源関連の設備が根こそぎ喪失
今回の震災は地震による倒壊は大したことはなく、ほとんどが津波による被害だった。
私は震源に近い福島県川内村(震度6強と発表されている)にいたが、揺れはすごかったものの建物の損傷はまったくなし。
中越地震で家を失ったときに比べれば、地震の揺れによる被害はほとんどゼロと言ってもいいほどだった。

しかし、原発が……。

まさかあれほど杜撰な運営をしているとは思いもしなかった。
最初の水素爆発の映像がテレビに流れたのが1時間半も経過してから。その時点で、格納容器ごと吹っ飛んだのかどうかは分からないまま。NHKは映像もこの事実も報じていなくて、古い情報を流していた。
その後の官房長官会見がまったくお話になっていなかったことで、相当慌てた。
津波による甚大な被害は、ある程度避けようがなかったが、その後、さらにひどい状態にさせたのはすべて人災だ。

16日朝の時点で、書き留めておきたいこと
  1. 汚染はひどいけど、逆に言えば、こんなに汚染されても平気なものだということ。吸い込まないようにして粛々と救援作業をするしかない。扇情的な報道はやめて、風向き情報のこまめな発信だけ徹底せよ。風上になっている場所と時間帯をはっきりさせ、むしろ「今の時間、ここは比較的安全ですから動きましょう」という前向きな情報を出すべき。いたずらに数値を発表しているだけでは、一般人は混乱し、救援活動が不必要に邪魔される
  2. 原発事故は、直接の放射線汚染による被害もさることながら、世界の中での風評被害、それによる経済的損失が多大。そういうリスクも含めると、原発は非常に高くつく発電。被害の補償は全部電気料金や税金に跳ね返る。すでにCNNなど海外メディアは、津波災害での死者や取り残された被災者の窮状は一切報じず、すべて放射能汚染関連のニュースになっているという
  3. 首都圏にいる人は、買い出しパニック的自衛より、すぐ隣で物資がなく、通信が途絶えて見殺し状態になっている二次被災者への支援を考えるべき。陸路で簡単に物資が届けられる川内村など、直接被害のなかったエリアへなぜ物資が届かないのか。半径20kmだの30kmだのといった避難エリア指定はまったく無意味。風上10kmより風下100kmのほうが汚染数値は高くなるのだから。救援活動や住民の健康を阻害するだけだから、距離による避難指示はすぐにやめるべき。まずは移動できる人をすべて移動させ、残った病人や独居老人などのケアを専門家がやりやすくするように身軽にすること。過疎の村に平時以上の人(特に普通の生活者)がひしめいていることが、復旧を困難にさせている
  4. エリアごとに一斉停電させるという乱暴な「計画停電」(実際には停電になってみないと分からないのだから、少しも計画的ではない)よりも工場などの大型消費を見合わせるよう要請すべき。そのほうが事前に計画が立てられるし、不意の停電での二次災害も防げる。こういう馬鹿なお役所仕事ぶりを見ていても、電力会社がいかにダメか分かる。広報や運営、経営トップ陣がひどすぎる
  5. 「原発は止めろ」「いや、原発しかない」という両極論をぶつけ合っている段階ではない。今できることは、早急に全国の原発のバックアップ電源を二重三重四重に強化しておくこと。内陸側から強固な電源供給ルートを複数確保して、事故が起きたときに今回のような無様なことにならないよう、金を投入して緊急対策すること。浜岡など、特に危険性の高いものは止めた上で、安全に後処理できるよう集中すること
  6. 原発の安全対策に金をかけよ。使いものにならない風力発電などに金をかけて遊んでいる暇はない。電力会社も経産省もきちんと本当のこと(新エネルギーと言われるものは、まだ技術が確立されていないし、現段階では資源を浪費するだけだということ)を言い、当面は火力、水力など、柔軟に発電能力を変えられるものがいかに重要かをPRすること。電力という基本の基本を早く立て直さないと、このまま世界の孤児になりかねない。事故後、死に体だった日本風力開発の株がストップ高などというニュースを見ていると、あまりにも分かっていない人が多すぎることに、改めて不安を覚える。まあ、電力会社も国も、今回ばかりは本音で動くだろうとは思うのだが、今の政府の勘違いぶりは嫌と言うほど見せられてきただけに、心配だ
  7. 少し先のことになるだろうが、今回のことを「未曾有の天災」で片づけるのではなく、大量生産大量消費社会が豊かな国の証という従来の発想から完全に脱皮し、少ないエネルギーで豊かに生きられる国をめざすべき。そのためには経済成長率などというただの数字が下がることを恐れていてはいけない。ガソリンがなければ高級車もただのお飾り。日本人は本来、こんなに貪欲な消費をする人たちではなかったはず。もっと精神的に豊かな生き方を知っていたはず。「粋な江戸人」の文化をもう一度めざそう


滝根小白井ウィンドファームは全機停止。非常時に風力からの不安定な電力がきたりこなかったりで系統を乱されたらますます電力供給が混乱するので、停止させるしかない。もとよりバックアップにならないことは明白だが、今回のことで、海岸沿いの巨大風車は巨大な津波に襲われたら凶器になるということを再認識させられた。
ムードで踊らされるのはいい加減にやめて、現実をしっかり見つめてほしい。
福島原発はこのまま廃炉になる。もうすでに相当量の放射性物質をばらまいてしまったが、最後までしっかり廃炉処理してほしい。

ちなみに、つい先日のニュース↓

福島第1原発で新たに33機器点検漏れ  保守管理の規定の期間を超えても点検を実施していない点検漏れの機器が見つかった問題で、東京電力は28日、経済産業省原子力・安全保安院に調査結果を最終報告した。報告では福島第1原発で新たに33機器で点検漏れが見つかった。県は「信頼性の根本に関わる問題」と東電に再発防止策の徹底を求めた。
 東電によると、福島第1原発で見つかった点検漏れは定期検査で行われる機器ではなく、東電の自主点検で定期点検が行われている機器。しかし、最長で11年間にわたり点検していない機器があったほか、簡易点検しか実施していないにもかかわらず、本格点検を実施したと点検簿に記入していた事例もあった。
(2011年3月1日 福島民友ニュース)
緊張感のなさ、無責任が積み重なってこうなった。今までなんとかなってきたのは単に運がよかっただけなのだ。

風力発電問題を考える全国集会 東京宣言2010 「風の心」2010/04/30 20:11

山口県白滝山に建てられた風車群
2010年4月30日、東京大井町において、「風力発電問題を考える全国集会」が開催されました。 100人を超える人たちが全国から集まり、風力発電の実態について報告し、問題点を論じ合いました。 集会の最後には、以下のようなメッセージを「東京宣言2010」として採択しました。

風の心

風力発電全国情報ネットワーク 東京宣言2010

 20世紀、この国では、数々の間違った政策や人々の欲望によって、取り返しのつかない大規模な環境破壊が行われました。その結果、今の日本には、本来その土地の潜在自然植生を残した森は0.06%しか残っていません。日本中に存在する荒れ果てた人工林を元の姿に戻すことは、もう不可能でしょう。
 アイヌの人たちが聖地として代々守り続けた沙流川では、司法が「違法な建設」と認めた二風谷ダムが、すでに半分土砂に埋まり、その上に泥水を溜めた姿を晒しています。
 こんなことが許されるのだろうか? なぜそこまで強引に進めなければいけないのか?
 周辺住民や、多くの専門家、研究者たちは疑問の声、生活権をかけた叫びを上げましたが、国策という巨大な力に阻まれ、国民の多くには届くことなく、圧殺されてきました。
 何が行われたのか。その結果、どうなったのか。国民が少しずつ知るようになったのは、すでに回復不能なまでに環境が破壊された後のことです。
 
 私たちは今、目の前で展開されている風力発電という国策事業の現状に、過去何度も繰り返されてきた過ちと同じものを見ています。
 「地球温暖化防止」「CO2削減」というスローガンのもと、巨額の国費を注ぎ込んで進められる大規模風力発電事業は、本当に公益性の高い、価値のある事業なのでしょうか。地球環境にとってプラスに働いているのでしょうか。
 この国は、前世紀に犯した過ちを、今も繰り返していないでしょうか。

 風が安定せず、中山間地が7割を占める日本列島に、すでに1,500基を超える風力発電用設備が建設されています。現在の主流は、全高が100mを超える、定格(最大)出力が2,000KW、2,500KWといった超大型風車です。
 すでに建てられた施設には、地元の行政や土地所有者に適切な説明をせず、「最初に建設ありき」の姿勢で工事が進められた例が多数あります。国定公園内に建てたものや、水源涵養保安林指定を解除して森林伐採や地形改変を進めたものもあります。しかし、これだけの無理をして建設した1,500基の発電実績は、全発電量の1%にもなりません。用地の選定においても、建設後の運営においても、すでに様々な問題を露呈しており、しかも、これらの問題は簡単に修整が効くものではなく、根本的なものです。このまま、さらに無理を重ねたとして、発電実績を数%のレベルまで引き上げることが可能でしょうか。日本の風力発電は果たしてどれだけの「有効な電力」を作りだしているでしょうか。稼働した分、本当に化石燃料の使用が減っているでしょうか。
 
 「風力発電は発電しなくてもいいのです。補助金をいただけるから作るのです」と言ってはばからない事業者がいます。故障して長期間止まったまま、中には事実上修理が断念され、ただのオブジェとして放置された風車もあります。
 稼働している風車のそばでは、20Hz以下の「耳に聞こえない低周波音」が原因と思われる深刻な健康障害に苦しむ住民がいます。不正出産や奇形が多発する家畜。すみかを追われ、里に下りてきて農作物を荒らす野生生物。羽根に巻き込まれて命を落とす野鳥。水源が破壊され、涸れたり汚される川や井戸。こうした被害の実態は、なかなか報道されません。一方で、冷静な検証や考察がされないまま、「CO2削減のために必要不可欠な風力発電」というメッセージだけが、繰り返しメディアを通じて流れていきます。

 やみくもに「推進」を叫ぶのではなく、すべての国民が「環境問題の本質とは何か」を冷静に考える時間を持つ必要があります。そうした思いから、私たちはここに、共同メッセージを発します。

日本政府、および各行政機関のみなさんへのお願い
 風力発電推進を既定の政策と位置づけず、一度立ち止まって、日本における風力発電の実態を正確に把握し直してください。「風力発電推進は必須である」という前提を一度リセットし、ゼロから、真剣に検証し直してください。
 その結果、疑いの持たれるデメリットや予測可能な被害に対して、あらゆる予防手段を講じてください。「科学的に証明できない」「基準値を超えていない」「問題はないと理解している」……そうした杓子定規な対応が続く限り、被害者の苦しみは今後も再生産されていきます。少なくとも、現在被害者が苦しみを訴えている地域の施設については、住民の命を最優先させ、すぐに稼働停止を指導してください。

風力発電を応援している企業へのお願い
 環境問題を「イメージ広告」の材料として安易に扱わないでください。みなさんが援助している風力発電事業の実態を正確に知ってください。
 日本には、深刻な公害時代に多くの企業が立ち向かい、低公害技術を開発してきた歴史があります。誤りを訂正する勇気と知恵こそ、日本が世界に誇れるものです。
 未来につながる実効性のある技術や事業とはどんなものか。先人たちの努力を無駄にせぬよう、困難な課題から逃げずに、見つめ続けてください。

すべての人々に向けてのお願い
 すでに建設された巨大風車群を、一度、ぜひご自分の目で見てみてください。先入観を持たず、静かな心で、変わってしまった風景を見てください。そこで感じ取れる素直な気持ちを出発点にして、風力発電にまつわる様々な情報に、改めて向き合ってみてください。

 人間が、生物本来の正常な判断力や危険察知の本能を取り戻すこと。
 風力発電問題に限らず、これからの時代を生きていく上で、これが基本的な出発点だと、私たちは思います。
 私たち人間を含め、地球上のすべての命を育み、活動を保証してくれた、かけがえのない自然。自然が発する大切なメッセージを、私たちはいつの間にか正しく受け取ることができなくなっているのではないでしょうか。ここで一度立ち止まり、自然のメッセージ、水の心、土の心、風の心を、正しく読み取る時間を持ちませんか。

 様々な立場にいる私たちですが、以上のことを、まずは共通の、心からの願いとして、ここに発信いたします。
2010年4月30日
風力発電全国情報ネットワーク

★私たち風力発電全国情報ネットワークは、風力発電開発に疑問を抱く市民、実際に風力発電施設からの被害を受けている市民、これから被害を受けることを懸念している市民が、情報共有化のために結成したネットワークです。

風力発電が使い物にならないというこれだけの証拠2009/09/20 14:55

風力発電が実際に使い物になっていない証拠

前原国交相が八ツ場ダム建設中止を発言したことで、メディアは「地元が一斉に反発」などと書いていますが、間違えてほしくないのは、こうした事態を招いた責任者は今までの自公政権であるということです。地元はもともと建設反対だったのを、57年もの気の遠くなる時間をかけて懐柔し、脅し、無理矢理にここまで建設を進めてきたのは前の政権と官僚たちです。それを間違えないようにしてほしいものです。

小沢鋭仁環境相は、温暖化対策に寄与する新エネルギー事業である太陽光や風力発電には積極的に金を出すと発言したようですが、この人と、党内で最も「温暖化対策に熱心」と言われる岡田克也外相には特に、すり込まれた間違った情報と認識を早急に改めてもらわないと、日本の環境も経済も破壊されてしまいます。

最近ようやく、無茶な風力発電事業開発で住民が健康被害などで苦しみ、貴重な自然が破壊されていることに注目が集まるようになりましたが、ほとんどの人たちは「それでも風力発電事業そのものは地球温暖化対策のために絶対必要だ」という思いこみから抜けられないでいます。
まず、地球が多少温暖化しても、メリットのほうがデメリットよりはるかに大きいということ(大きな戦争が起こったのは寒冷化のときであるということは歴史が語っています)、ここ数十年の温暖化傾向は昨年あたりから頭打ちで、今は放っておいても小さな寒冷化傾向にあるらしいこと、温暖化が続いていたとしてもそれはCO2のせいではないということ(温暖化は人為的発生のCO2が急増するよりずっと以前の1800年頃から始まっている「自然現象」です)……こうした認識がないままに、多くの人たちが温暖化プロパガンダにころっと騙されていることが大きな問題ですが、それらを全部「おいておいて」、風力発電事業というものが資源節約に寄与するのかという点だけに絞っても、根本的にダメなのだということを理解してほしいのです。

風力発電から買い取らなければならない電気はこんなに不規則

最初に下のグラフを見てください。

ハマウィング時間別発電量


これは横浜市が市民に地球温暖化対策をPRするために建設したという「ハマウィング」という定格出力1980kwの風車が、1日にどのように発電しているかを時間別に記録したものです。
これは『ストップ!風力発電』(鶴田由紀・著)の75ページから借りてきました。
風力発電の時間別発電量データを見れば、風力発電がいかに使い物になっていないかが一目瞭然なのですが、それゆえに、風力発電業者はデータを表に出そうとしません。そこで、情報開示義務がある公営風車のデータを出してもらったわけです。
しかし、このデータが入手できたのは幸いで、その後、東京新聞の取材班が横浜市に「ハマウィングの発電実績データを見せてほしい」と要望した際、「発電量が目標に達しておらず、議会で追及されてしまう恐れがあるので公開したくない」と拒否してきたそうです(東京新聞2009年10月8日付「こちら特報部」)

さて、このグラフで、ピンク━━━━が4月1日、赤━━━━が7月1日、水色━━━━が10月1日、緑━━━━が2008年1月1日です。偏見や恣意的操作が入らないよう、年度初めの4月1日から3か月おきに各月の1日を抽出しています。
これを見てまず分かることは、定格出力1980kwといっても、その最大出力を得られている時間がないということです。4月1日未明(真夜中の1時過ぎ)に突出して発電量が多くなっていますが、この極端なピークでさえ、980kw程度で、定格出力の半分に過ぎません。
その他、ほとんどの時間帯では、0~200kwあたり、あるいはせいぜい500kwを一時的に突破している程度です。
次に、4月1日の突出した発電ピークが真夜中であることに注意してください。夜中の1時過ぎから明け方4時くらいまでにせっせと発電していますが、この時間帯は1日のうちで最も電力需要がなく、原子力発電以外を止めてもまだ夜間電力が余るので、揚水発電に回しているという時間帯です。電力があり余っている深夜の時間帯に突然風力から電気が送られてきて、それを高額で「買い取らなくてはいけない」という状況が、どれだけ電力供給システムにとって迷惑なことか、誰でも簡単に理解できるでしょう。

世の中で最も電気を使っているのは昼間、具体的には朝の10時くらいから夜の10時くらいまでです。グラフの中に薄い黄色の四角で囲った部分がその時間帯ですが、最も電気が必要なこの時間帯にハマウィングがまともに発電していないことは一目瞭然です。特に10月1日と1月1日は、電気がいらない真夜中に発電し、電気がほしい昼間は発電しないというあべこべの図式がはっきり見て取れます。
また、どの日も、出力変動幅が大きく、しかもめまぐるしく変わっていることが分かります。これほど激しく変化する風力発電の出力に合わせて、他の発電設備(主に火力)を細かく調整するなどということは無理ですから、結局は火力発電は風力からの電気がゼロ状態に合わせた形で常に稼働していなければなりません。
次の図は、1日の電力発電量の変化に、各発電手段がどのように対応しているかを示したものです。

時間別発電手段変化


これを見ると分かるように、まず流水型水力や地熱というのは、投入エネルギーの調整ができない発電なので、常に100%出力で稼働させます。
原子力も同じで、出力変動させるには燃料棒の抜き差しという非常に危険な作業を伴うため、一旦稼働させた後は100%出力で動かし続けます。これらが不変のベース電源となり、いちばん下(土台部分)にきます。
実際にどうなっているかを示した実例が以下のデータです。データが2000年4月といささか古いのですが、現在では火力の割合がもっと増えています。
出力変動に合わせた電源対応


これを見れば分かるように、原子力などのベース電源を止められずに余った夜間電力は、揚水発電所というダムに送られ、下のプールから上のプールに水を電気ポンプで(つまり電気を使って)汲み上げることに使われます。汲み上げた水は、昼間、電力使用量が増えたときに、下のプールへと放水し、その水力で発電するという仕組みです。
つまり、一度作った電気を位置エネルギーに変換させて溜めておくということになります。そこから再度電気にしたときは、当然のことながら、最初に発電したときよりも効率は著しく落ちます。しかし、余った電気を捨てるわけにはいかないので、このように苦肉の策で処理しているわけです。
風力発電が夜中に突然大出力で動き出せば、ただでさえ余っている夜間電力の処理に深刻な問題を与えます。もちろん、夜間に風力発電から発生させた(というよりも、風が吹いたために、人間のコントロールできないところで勝手に生まれてしまった)電気は、まったく役に立ちません。
昼間の電気が必要なときにも、風力からの電気は変動が大きすぎるため、火力発電所がその激しすぎる変化に対応するには燃料カットでは無理で、「空焚き」や、極端に悪い燃費での運転を強いられます。
それでも出力変動調整が追いつかない場合は、風力から来た電気のおかげで、供給される電気の周波数が不安定になり、電気を使う現場では電気機器の動作不調などの問題が起きます。わざわざ大金を使って使えない発電施設を作り、その結果、電気の供給を不安定にさせる。 これほど馬鹿げた発電手段が他にあるでしょうか。
そもそも、人間が発電時間や発電量をまったくコントロールできない機械を「発電施設」と呼べるのでしょうか。社会はお天気任せで動いているわけではないのです。雨が降っても、風が吹かなくても、人間は定時に起きて、活動し、電気を使います。それに合わせて電気を作り、供給するシステムが発電施設であって、お天気任せの発電施設を増やせば増やすほど無駄が大きくなることくらい、小学生でも分かることです。

風力発電をすればするほど化石燃料が無駄に使われる

そもそも、日本における発電手段の割合はどうなっているのでしょうか。
下のグラフがそれです。


この図では、風力発電は地熱を除いた「新エネルギー」に入りますが、他のものと合わせても「新エネルギー」なるものは0.4%に過ぎません。この0.4%の中で、時間別に激しく出力変動して使い物にならないというのが風力発電です。
「温暖化防止のために、風力発電などの新エネルギーの割合を増やさなければならない」と主張する人たちは、本気でこの0.4%をこれから他の発電手段並みに伸ばせると考えているんでしょうか。まともな感覚なら「到底無理だ」と分かるはずです。
次のグラフは、発電手段の年次別変化を示したものです。

2004年から2009年(見込み)への変化として、火力と水力が減った分、原子力が増えています。これはひとえに、「地球温暖化対策」が叫ばれ、火力発電が悪者にされた結果でしょう。
火力発電を必要以上に悪者扱いするのは危険な思考です。
石油はエネルギー資源であると同時に工業原料、素材資源であり、また、貴重な移動動力用エネルギーですから、火力発電で「生炊き」するのはもったいないことです。 ただし、石油火力発電で使われるのは重油ですから、工業製品原料としての石油や、輸送用燃料としての石油が使い続けられる限り、その分の重油は必ず生じます。
原油を精製すると、成分の軽いものから順に、
LPガス → ナフサ → ガソリン → 軽油 → 灯油 → 重油 → アスファルト
……という順番で精製されます。
精製後の量を割合で表すと、いちばん多いのが重油で約29%、次いでガソリン24%、軽油16%、灯油12%、ナフサ8%……となります。
この比率を人間が勝手に調整することはできません。つまり、ガソリンとナフサはたくさんほしいけれど、重油はいらないよ、というわけにはいかないのです。原油を精製すれば、必ず29%は重油になるのです。
重油からはプラスチックを作ることはできませんし、移動用燃料にも向いていません。いわば、燃やすしか使い道がないものであり、その重油を燃やして発電することは極めて理にかなっているとも言えるのです。

天然ガスは石油に比べると埋蔵量が莫大で、そもそも地下においてどういう仕組みで天然ガスが作られてきた(あるいは現在も作られている)のか、詳しくは分かっていません。
日本は、もっと真剣に天然ガス発電を考える必要があるでしょう。今はパイプラインがないため、液化天然ガスにしてから輸入しています。その結果、液化する段階でエネルギーが使われる分、エネルギー効率が落ちていますが、これをどう改善していくか。日本の領海内に天然ガス資源は見つからないのか、といったことを真剣に考える必要があります。資源大国モンゴルなどの近隣国との友好を深めておくことも重要でしょう。

石炭は燃焼効率が石油に比べれば落ちるためにCO2発生量が増えるということで悪者にされますが、日本は脱硫技術は世界一ですし、かつてのような規模の大気汚染は引き起こしていません。CO2そのものは無害な気体であり、石炭火力を「CO2」だけを理由に圧殺するのは馬鹿げた自殺行為です。
プルサーマルなど、事故を起こしたら取り返しのつかない危険性を伴うことを推進して、技術がほぼ確立している石炭火力を封印するというのはどういう神経なのでしょう。

現在の、CO2悪者説は、いたずらに火力発電を悪魔に仕立てすぎています。
特に、石油よりも可採年数がはるかに長い(豊富な)石炭や、パイプラインで運べばいちばん理想的な発電用エネルギー源である天然ガスから電気を得るという発想は間違っていません。特に天然ガス火力は、今後最も有望な発電方法であるということについては、資源物理学や経済学、地質学など、あらゆる分野から見て異論はないところでしょう。

日本を守る、国民の命を大切にする、限りある資源を有効に使う、これからのマイナス成長時代を少しでも幸福感を持って生きていけるための新しい生活習慣、価値観を模索し、築いていく……こうした視点に立てば、CO2温暖化説という詐欺が引き起こしている現在の危険な状況から一刻も早く脱却し、国民全員が覚悟を持って新しい未来像に向かっていく努力が必要です。そのリーダーとなるべき人たちが、真っ先に温暖化説による危険な思想・思考に染まり、国を間違った方向に誘導していくのを見るのは、悲しく、恐ろしいことです。

CO2による地球温暖化説というのは、もともとが原子力発電推進の理由として考え出された方便であることは業界人や学者たちの間では常識ですが(補助金や研究費をもらっているため、表だってそう言えないだけのことで)、まさにそれを裏付けるような推移になっています。
私は原子力発電の存在を肯定していません。核廃棄物という、処理できない毒物を生み出す発電には依存してはいけないと考えます。しかし、CO2温暖化説による地球温暖化防止キャンペーンが進めば進むほど、原発依存度が上がっているという現実を、反原発の人たちはどう考えているのでしょうか。これこそ産業界の「思うつぼ」ではないですか。
リサイクル幻想と同じで、風力発電が明るい未来を切り開くといったでたらめ情報を流布することで、実際にはより多くの金が動き(つまりそれだけ余計なエネルギーが使われ)、一部の巨大企業に金が集まり、環境は破壊され、生活格差は広がっているではありませんか。
現実に、データを見ても「新エネルギー」が増えていないことは一目瞭然です。これは、いくら補助金をつけて推進したところで、基本的に使い物にならないものは使えないという当然の結果にすぎません。
この1%に満たない、最も優遇された発電手段が他の発電手段の代替になるなどと考えることは妄想以外のなにものでもありません。
太陽光は晴れた日以外にはまともに発電できませんが、それでもまだ、電気を必要としている昼間に発電し、需要が落ちる夜間には発電しないというパターンが分かっている分、風力よりはマシです。風力はその逆(昼間は止まっていて、電気を必要としていない夜中に突然発電を始めるパターン)であることが多いばかりか、30分先の発電量も予測不能という、どうしようもない代物です。
いくら補助金をつけて、あるいは国民や企業を騙して援助金を集めて運転し続けたところで、タチの悪い冗談、お遊びでしかありません。いい加減、こういう馬鹿げたものを「環境保護」「省資源」などといって真顔で論じるのはやめようではありませんか。時間とエネルギーの無駄です。
最近では、放送メディアもようやく風力発電の負の面を報道するようになりましたが、それでも「風力発電は温暖化効果ガス削減のためになくてはならないものですが……」という前置きを必ずぶちあげてから本題に入ります。その前置きは根本的に間違っています。

すでに報告しているように、風力発電事業者は別に温暖化だの省資源だのという理想を信じて日本の山の中に巨大風車を建てているわけではありません「建てさえすれば、発電できなくてもいいのです。補助金がいただけるから建てるのです」という姿勢でやっているだけなのです。
鳩山由紀夫さん、菅直人さん、岡田克也さん、小沢鋭仁さん、前原誠二さん……みなさんには特にこのことを知っていただく必要があります。
風力発電事業に税金を投入することは、日本の国土を破壊し、限りある化石燃料を無意味に使うことに他ならないということを。

「風力発電は発電しなくてもいいんです。補助金がいただけますから」2009/09/18 14:01

「風力発電は発電しなくてもいいんです。補助金がいただけますから」

『ストップ!風力発電』(鶴田由紀・著、アットワークス刊)は、今、日本国中の風車建設現場で何が起きているのかを、誇張なく、詳細に報告しています。
かつて北欧を旅行したときに、洋上に浮かぶ風車群を見て「すごいなー、さすが環境先進国だなー」と感心し、帰国後、市民風車に出資しようとしたという著者によるリポートは、マスメディアが語りたがらない現実を、分かりやすく、公平に記述しているところが、他の類書とは違って、感心させられました。
その中の第3章「青山高原(三重県)で起きていること」の中に、非常に興味深い話が紹介されています。
内容をまとめると以下のようになります。

ウィンドパーク美里(中部電力の子会社、株式会社シーテックが建設・運営。2000kw×8基。2006年2月運転開始)は、山頂に自衛隊のレーダー基地があるため、風の当たらない東の中腹に建設されています。このエリアでは北西から西の季節風がいちばん強いのに、わざわざその風が当たらない反対側の斜面に風車を建てて、使い物になるのでしょうか?
青山高原には、美里ウィンドパークに先立ち、2003年3月に運転を開始した「青山高原ウィンドファーム」(750kw×24基。うち4基は津市が所有するもので久居榊原風力発電所といい、1999年5月に運転開始。現在の運営は株式会社青山高原ウィンドファームという、シーテック、津市、伊賀市が出資する第三セクター)というものもあります。
こちらは750kw風車ですから、現在主流の2000kw以上の大型風車に比べると小振り(とはいうものの、羽根の直径は50m)ですが、この24基は建っている間隔が狭く(150m程度~)、互いに干渉しあって効率的な発電ができていないように見えます。
こんな建て方をしていて、まともに発電できるのでしょうか?
──誰もが抱く疑問に対して、事業者は「風力発電は採算が合わない。補助金があるからやる」と答えているというのです。

この話の真偽を確かめるため、取材源者に直接確認をしてみたところ、本当でした。

ウインドパーク笠取(三重県)建設に際して実際にあった話

株式会社シーテックは、美里ウィンドパークに続いて、青山高原(布引山地)の主峰である笠取山の北の尾根に、新たにウィンドパーク笠取(2000kw×40基)を現在建設中です。
このウィンドパーク笠取の環境影響評価準備書段階で、現地で鳥類を中心とした生態系調査に関わってきた日本野鳥の会・会員から「予定地中央にクマタカがいるから建設しないように」という意見書が提出されたのですが、2007年3月、シーテックの本社課長、三重事務所所長、調査を請け負った日本気象協会の担当者の3人が、その意見書を提出した人のもとを訪ねてきて「すでに買収や借地の手続きが終わっていて、補助金の期限が迫っているので、敷地内に巣でもない限り、断固建設したい」ということを訴えたそうです。
その際、課長は

「三重県内の風況のよい山地すべてを風力発電所で埋め尽くして、日本一にしたいと思っています。国立国定公園内でも規制緩和でドンドン建設できるようになる情勢でもありますので」
と豪語したそうです。
風力発電は、発電では採算が合わないのではないかと質したところ、
その通りです。しかし、補助金をいただけますので、建設するのです
という驚くべき答えが返ってきたそうです。さらには、久居榊原風力発電所(青山高原に最初に建設された風力発電所(1999年))の発電実績で計算すると、建設費をまかなうのに14年かかる計算になるのではないかと確認したところ、
「あれは古い小さなタイプ(ブレードの直径50.5m)ですから、ダメです。発電機の寿命は13~14年です。私共のウインドパーク美里のように大きなもの(2000kw級。ブレードの直径80m)ならもっと発電効率はよいのです」

と答えたというのです。
風力発電事業者の感覚がいかに麻痺してしまっているかを如実に物語るエピソードと言えるでしょう。
風力発電が発電手段としては使い物にならないことは、事業者がいちばんよく知っています。しかし「補助金がいただけるから建設する」というのです。

この課長が「もっと発電効率がよい」というウインドパーク美里(2000kw級8基。ガメサ製)は、前述のように、風のあまり当たらない尾根の東斜面に建てていて、とてもまともに発電しているとは思えません。効率云々以前に、2006年の完成直後から故障が頻発し、80%が停止していることが半年続くといった状態が何度も繰り返されています。今年も2月から8基中6基が停止したまま。中には、昨年9月からずっと停止したままのものもあります。
さらには、2009年8月中旬には、強風や落雷などの目立った原因もないまま、突然ブレードが「自然落下」するという事故が起きたようです(公表されていないようですが、目下、メディアの記者が調査中)。
要するに、まったくお話になりません
取材した新聞記者によれば「故障した風車については、どうも修理する気はないのでは?」とのこと。
既設施設がこうした惨憺たる状況にもかかわらず、さらにその隣りにウインドパーク笠取18基の建設をしていて、さらに47基(!)の建設計画を申請しているというのです。
この47基の建設計画(青山高原ウインドファーム増設計画)に際して、事業者が県職員に繰り返し語っているのが、
「建設さえすればいいんです。発電しなくてもよいのです。補助金をいただけますから」
という言葉なのだそうです。
これは、シーテックだけでなく、すべての風力発電事業者の本音でしょう。
税金投入、つまり、補助金を止めれば、日本の風力発電事業は最初から成立しない事業なのです。

補助金以上に問題な企業からのPR目的の援助金

しかし、国からの補助金は建設費の3分の1です。残りの3分の2はどうするのでしょう。
実際の建設費に水増しをして請求しているのではないかということは容易に想像できます。NEDOでは、
「補助金申請の書類をチェックして、過大なものではないか調べることはしていないし、する予定もない」
とのことだそうです。
それにしても、建てた後、ほとんど止まっているような風力発電施設では、いくら国が電力会社に高い価格で買電義務を負わせたところで、売電の売り上げだけで施設を維持できるものなのでしょうか?

この疑問をずっと抱いていたのですが、どうやらその裏には答えが2つありそうです。
まず、ほとんどの巨大風力発電施設は、10電力会社の子会社化されていたり、資本下に置かれています。
風力発電が出した赤字は、親会社が吸収してうまく処理するのでしょう。国は「温暖化対策」「環境保全」の名目で多額の金を原発に援助していますから、電力会社としては、原発の巨額の援助は必要だが風力はいらない、とは言えないのです。
基幹電力会社が親会社になることで、風力発電施設の惨憺たる採算性、効率の悪さは目立たなくなります。表向きには、これだけの発電能力があります、これだけ発電しましたという数字だけをPRし、実際の電力供給現場で風車から無秩序にやってくる電気がどれだけ貢献しているかは考えさせないようにできるからです。
風力発電事業が完全な独立事業であれば、成立しえないのですから、最初からやる企業などありません。
独立系の事業者は、施設を建設した後は電力会社や他の大手企業に売却、子会社化して、その後の赤字リスクから逃れようとします。
例えば、CEFはCEF白馬ウインドファーム株式会社とCEF白滝山ウインドファーム株式会社の2つを、きんでんに株式売却し、きんでんの子会社にしました。
きんでんは、関西を代表する大手電気系ゼネコンであり、関西電力関連の工事などを一手に請けています。CEF南あわじウィンドファームなど、風力発電所の建設も行ってきました。
しかし、最近では、きんでんも、これ以上CEFとつきあって、買電実績が見込めない風力発電所を傘下に置くことのリスクを分かってきたようで、CEFと決別したがっているという話も聞こえてきます。
民主党政権が風力発電事業の実態に気がつき、政策変更を匂わせれば、一気に風力発電業界は様変わりし、独立系事業者から順番に淘汰されていくことでしょう。これ以上、各地に被害を広げないために、一刻も早くそうなってほしいと願っています。

もうひとつは、他企業や個人からの援助です。
グリーン電力証券をはじめ、風力発電事業には他の企業から多額の金が注入され、無理矢理存続させられています。
企業はそのことで「我が社は環境にやさしい企業です。地球温暖化に貢献しています」とPRできると思っているため、「広告費」「PR費」として処理しています。
アサヒビールなども大々的にPRしていますが(⇒こちら)、これを知って、我が家では今後、アサヒビールがこの過ちに気づき、姿勢を変えない限り、アサヒビール製品は極力買わないことにしました。
横浜市では「ハマウィング」という2000kw級風車を建てて、大々的に「地球温暖化防止」を謳っています。
この風車も、単独で採算をとることは無理なため、企業や市民から金を集めて、無理矢理回しているという構図です(⇒こちら)
発電云々よりも、「新エネルギー」の広告塔という役割が大きいもので、実際、夜間には目立つようにライトアップされていたりします。このハマウィングには、キリンビール、日産自動車、新日本石油、ファンケルグループ、日本郵船、三菱地所、セガ……といった、そうそうたる有力企業が出資し、「グリーン電力証書」という名称で企業や個人から援助金を募って「新エネルギー」発電施設などに渡す日本自然エネルギー株式会社もバックアップしています。
これだけの援助を得て動いているハマウィングですが、東京新聞が、横浜市にハマウィングの発電実績データを求めたところ、「発電量が目標に達しておらず、議会で追及されてしまう恐れがあるので公開したくない」と拒否してきたそうです(東京新聞2009年10月8日付「こちら特報部」)。データ公表を拒否する理由が「議会で追及される恐れがあるため」というのですから、これまたお話になりません。市民からも協賛金を募って建てた風車なのですから、どの程度世の中に貢献しているのか、きちんとデータを公開する義務があるのはあたりまえのことでしょうに。
実効性のある発電を行っていない施設に、イメージ先行で企業や個人からの援助金を注ぎ込むことは正しいことでしょうか。

こうした協賛金、援助金が、環境破壊のシステムである風力発電事業を支えているのです。
CEF南あわじウィンドファームを例にとると、関西グリーン電力基金というところが、平成17年度に1200万円の助成金を与えています
関西グリーン電力基金はその2年前、平成15年度(2003年度)には、ホテルニューアワジ(兵庫県三原郡南淡町)の2000kw風車に1900万円を援助し、2004年3月に完成させていますが、この風車は翌2005年11月29日に、ブレードが根元から裂けて垂れ下がるというお粗末な事故を起こして停止しました(神戸新聞記事)。
幸い怪我人、死者は出ませんでしたが、すぐ下には道路が通っており、巨大なブレードがちぎれて落下した場合、どんな惨事になっていたか分かりません。
最近では、テレビでも「この番組は環境に優しいグリーン電力で製作・放送されています」などという許し難いPRをよく見聞きしますが、こうしたPRに接したときは、「へえ、感心だなあ」と騙されず、「許せない!」と声を上げることが大切です。
日本の環境を取り返しのつかないまでに破壊し続ける風力発電に金を出す企業には、不買などの行動ではっきりとNOを突きつけましょう。

八ツ場ダムのような悲劇を繰り返さないためにも、新政権には、真っ先にこの馬鹿げた事業をやめさせるべく、動いてほしいと願っています。

日本の風力発電事業の実体は、少し調べればすぐに本質が見えてきます。
政治家だけでなく、「新エネルギー幻想」を抱いている多くの国民に訴えます。
私たちのなけなしのお金を、こうした大規模環境破壊詐欺に注ぎ込む政策はやめてください。また、そうした政策を国民が後押しするような悲しいことはやめようではありませんか。

ストップ!風力発電

ストップ!風力発電 鶴田由紀・著

かつて北欧を旅行したときに見た洋上風車の風景に感動し、環境問題に目覚めて、帰国後、市民風車への献金をしようとした著者が、風力発電の恐ろしさ、馬鹿馬鹿しさに気づき、隠された真実を、今、淡々と報告する。「大変な問題なのに、ほとんどの人はまったく知らない」ことの恐ろしさを訴えるために。
全国の「風車ファン」必読の書。もちろん、風力発電懐疑派のかたにとっても最良のガイドブック。
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風力発電の不都合な真実

風力発電の不都合な真実 風力発電は本当に環境に優しいのか? 武田恵世・著

三重県で長年自然環境調査活動を続けてきた著者は、当初は広くPRされているように「風力発電は化石燃料を使わない、CO2を排出しない「環境に優しいエネルギー」だと信じていたが、目の前で展開される巨大風力発電施設建設のでたらめぶりに驚き、調査を開始。11年を経て、この事業がいかに欺瞞に満ちた詐欺的なビジネスであるかを知って戦慄する。
現在推進されている風力発電ビジネスは、CO2排出を増加させ、健康被害を引き起こし、補助金政策に頼り切る「使いものにならない」事業だった。原発震災に揺れている今こそ全国民が「正しいエネルギー政策」を考える第一歩として必読の書。
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このブログについて

環境条件がまったく合わないのを無視して、巨大風車群を無理矢理建設し続けることにより、日本は破壊されている。日本における風力発電ビジネスの実体に迫る。

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