風力発電問題を考える全国集会 東京宣言2010 「風の心」2010/04/30 20:11

山口県白滝山に建てられた風車群
2010年4月30日、東京大井町において、「風力発電問題を考える全国集会」が開催されました。 100人を超える人たちが全国から集まり、風力発電の実態について報告し、問題点を論じ合いました。 集会の最後には、以下のようなメッセージを「東京宣言2010」として採択しました。

風の心

風力発電全国情報ネットワーク 東京宣言2010

 20世紀、この国では、数々の間違った政策や人々の欲望によって、取り返しのつかない大規模な環境破壊が行われました。その結果、今の日本には、本来その土地の潜在自然植生を残した森は0.06%しか残っていません。日本中に存在する荒れ果てた人工林を元の姿に戻すことは、もう不可能でしょう。
 アイヌの人たちが聖地として代々守り続けた沙流川では、司法が「違法な建設」と認めた二風谷ダムが、すでに半分土砂に埋まり、その上に泥水を溜めた姿を晒しています。
 こんなことが許されるのだろうか? なぜそこまで強引に進めなければいけないのか?
 周辺住民や、多くの専門家、研究者たちは疑問の声、生活権をかけた叫びを上げましたが、国策という巨大な力に阻まれ、国民の多くには届くことなく、圧殺されてきました。
 何が行われたのか。その結果、どうなったのか。国民が少しずつ知るようになったのは、すでに回復不能なまでに環境が破壊された後のことです。
 
 私たちは今、目の前で展開されている風力発電という国策事業の現状に、過去何度も繰り返されてきた過ちと同じものを見ています。
 「地球温暖化防止」「CO2削減」というスローガンのもと、巨額の国費を注ぎ込んで進められる大規模風力発電事業は、本当に公益性の高い、価値のある事業なのでしょうか。地球環境にとってプラスに働いているのでしょうか。
 この国は、前世紀に犯した過ちを、今も繰り返していないでしょうか。

 風が安定せず、中山間地が7割を占める日本列島に、すでに1,500基を超える風力発電用設備が建設されています。現在の主流は、全高が100mを超える、定格(最大)出力が2,000KW、2,500KWといった超大型風車です。
 すでに建てられた施設には、地元の行政や土地所有者に適切な説明をせず、「最初に建設ありき」の姿勢で工事が進められた例が多数あります。国定公園内に建てたものや、水源涵養保安林指定を解除して森林伐採や地形改変を進めたものもあります。しかし、これだけの無理をして建設した1,500基の発電実績は、全発電量の1%にもなりません。用地の選定においても、建設後の運営においても、すでに様々な問題を露呈しており、しかも、これらの問題は簡単に修整が効くものではなく、根本的なものです。このまま、さらに無理を重ねたとして、発電実績を数%のレベルまで引き上げることが可能でしょうか。日本の風力発電は果たしてどれだけの「有効な電力」を作りだしているでしょうか。稼働した分、本当に化石燃料の使用が減っているでしょうか。
 
 「風力発電は発電しなくてもいいのです。補助金をいただけるから作るのです」と言ってはばからない事業者がいます。故障して長期間止まったまま、中には事実上修理が断念され、ただのオブジェとして放置された風車もあります。
 稼働している風車のそばでは、20Hz以下の「耳に聞こえない低周波音」が原因と思われる深刻な健康障害に苦しむ住民がいます。不正出産や奇形が多発する家畜。すみかを追われ、里に下りてきて農作物を荒らす野生生物。羽根に巻き込まれて命を落とす野鳥。水源が破壊され、涸れたり汚される川や井戸。こうした被害の実態は、なかなか報道されません。一方で、冷静な検証や考察がされないまま、「CO2削減のために必要不可欠な風力発電」というメッセージだけが、繰り返しメディアを通じて流れていきます。

 やみくもに「推進」を叫ぶのではなく、すべての国民が「環境問題の本質とは何か」を冷静に考える時間を持つ必要があります。そうした思いから、私たちはここに、共同メッセージを発します。

日本政府、および各行政機関のみなさんへのお願い
 風力発電推進を既定の政策と位置づけず、一度立ち止まって、日本における風力発電の実態を正確に把握し直してください。「風力発電推進は必須である」という前提を一度リセットし、ゼロから、真剣に検証し直してください。
 その結果、疑いの持たれるデメリットや予測可能な被害に対して、あらゆる予防手段を講じてください。「科学的に証明できない」「基準値を超えていない」「問題はないと理解している」……そうした杓子定規な対応が続く限り、被害者の苦しみは今後も再生産されていきます。少なくとも、現在被害者が苦しみを訴えている地域の施設については、住民の命を最優先させ、すぐに稼働停止を指導してください。

風力発電を応援している企業へのお願い
 環境問題を「イメージ広告」の材料として安易に扱わないでください。みなさんが援助している風力発電事業の実態を正確に知ってください。
 日本には、深刻な公害時代に多くの企業が立ち向かい、低公害技術を開発してきた歴史があります。誤りを訂正する勇気と知恵こそ、日本が世界に誇れるものです。
 未来につながる実効性のある技術や事業とはどんなものか。先人たちの努力を無駄にせぬよう、困難な課題から逃げずに、見つめ続けてください。

すべての人々に向けてのお願い
 すでに建設された巨大風車群を、一度、ぜひご自分の目で見てみてください。先入観を持たず、静かな心で、変わってしまった風景を見てください。そこで感じ取れる素直な気持ちを出発点にして、風力発電にまつわる様々な情報に、改めて向き合ってみてください。

 人間が、生物本来の正常な判断力や危険察知の本能を取り戻すこと。
 風力発電問題に限らず、これからの時代を生きていく上で、これが基本的な出発点だと、私たちは思います。
 私たち人間を含め、地球上のすべての命を育み、活動を保証してくれた、かけがえのない自然。自然が発する大切なメッセージを、私たちはいつの間にか正しく受け取ることができなくなっているのではないでしょうか。ここで一度立ち止まり、自然のメッセージ、水の心、土の心、風の心を、正しく読み取る時間を持ちませんか。

 様々な立場にいる私たちですが、以上のことを、まずは共通の、心からの願いとして、ここに発信いたします。
2010年4月30日
風力発電全国情報ネットワーク

★私たち風力発電全国情報ネットワークは、風力発電開発に疑問を抱く市民、実際に風力発電施設からの被害を受けている市民、これから被害を受けることを懸念している市民が、情報共有化のために結成したネットワークです。

ストップ!風力発電

ストップ!風力発電 鶴田由紀・著

かつて北欧を旅行したときに見た洋上風車の風景に感動し、環境問題に目覚めて、帰国後、市民風車への献金をしようとした著者が、風力発電の恐ろしさ、馬鹿馬鹿しさに気づき、隠された真実を、今、淡々と報告する。「大変な問題なのに、ほとんどの人はまったく知らない」ことの恐ろしさを訴えるために。
全国の「風車ファン」必読の書。もちろん、風力発電懐疑派のかたにとっても最良のガイドブック。
アットワークス刊、1200円+税   注文はこちらから  


風力発電の不都合な真実

風力発電の不都合な真実 風力発電は本当に環境に優しいのか? 武田恵世・著

三重県で長年自然環境調査活動を続けてきた著者は、当初は広くPRされているように「風力発電は化石燃料を使わない、CO2を排出しない「環境に優しいエネルギー」だと信じていたが、目の前で展開される巨大風力発電施設建設のでたらめぶりに驚き、調査を開始。11年を経て、この事業がいかに欺瞞に満ちた詐欺的なビジネスであるかを知って戦慄する。
現在推進されている風力発電ビジネスは、CO2排出を増加させ、健康被害を引き起こし、補助金政策に頼り切る「使いものにならない」事業だった。原発震災に揺れている今こそ全国民が「正しいエネルギー政策」を考える第一歩として必読の書。
アットワークス刊、2000円+税   注文はこちらから  

このブログについて

環境条件がまったく合わないのを無視して、巨大風車群を無理矢理建設し続けることにより、日本は破壊されている。日本における風力発電ビジネスの実体に迫る。

最近のコメント

RSS